ギター用語 マメ知識   別にどうでもいい話だが、知っていると みんなに自慢できる マメ知識

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Vol.18
   「Ovation」 のギターってどうなの !?



ギターには大きく分けると、生音で勝負するアコースティックギターと、
アンプを用いてバンドサウンドにも対応するエレキギターの2種類があります。

大昔、まだバンドサウンドが盛んではなかった時代はみんなアコースティックでした。
ドラムやバンジョーなど大きな音が出る楽器と一緒に演奏するためにピックアップ・マイクが作られてエレキギターは誕生しました。

アコースティックギターはエレキギターよりもずっと先輩で、深い歴史を持っています。
ギターの基本とも言えるかもしれません。
70年代は日本でもフォークブームで、アコースティックギターをかき鳴らし、フォークソングを唄っておられた方がたくさんおられました。
ブルーグラスが流行った時代にもアコースティックギターは大活躍しましたし、
今でも「山崎まさよし」や「ゆず」の影響でアコースティックギターを弾く人は多いようですね。

昔はアコースティックギターをライブで使う時は、サウンドホールの前にマイクを立てて、ヴォーカルマイクと同じようにして音を拾い、
スピーカーから鳴らしていました。
しかし、今のようにドラムにもマイクを立てて大きな音で演奏する時代ではギターの音を他の音に負けないようにマイクで拾うには限界があります。

そこで便利な楽器が誕生しました。
アコースティックギターに最初からエレキギターのようにピックアップマイクなどの電気系統を備え、
エレキギター同様、アンプで鳴らしたり、PAへ送ることが出来るギター。
それが「エレクトリック・アコースティックギター(通称エレアコ)」です。

エレアコは見た目は普通のアコースティックギターとほとんど変わりません。
しかし、アンプで鳴らし、バンドサウンドの中で他の楽器と対等に使えることから、仕様はややエレキギターに近い傾向を持っています。
特にネックはエレキギターのように細いものが多いですし、ハイポジションでもソロが弾けるようにカッタウェイがついているものが多いです。

ギター初心者の方にも最初に選ぶギターとしては、エレアコは向いているかもしれません。
アコースティックギターに挑戦しようと思っても、最初のうちはなかなか弦がしっかり押さえられなくて、
コードがきれいに鳴らない方が多いですが、エレアコならネックが細いのでとても押さえやすいです。
アコースティックギターでは鳴らせなかった「F」のコードがエレアコならきれいに鳴ったりします。
アンプにつながなくても普通のアコースティックギターと同じように使えますから便利です。

エレアコは各メーカーからたくさん出ていて種類も豊富にあります。

今回はエレアコに焦点を当てて、エレアコの専門ブランドである「Ovation」(オベーション)をテーマにしました。


「Ovation」 の誕生


「Ovation」はギターのメーカーとしての歴史はそんなに深くありませんが、
エレアコの専門ブランドとしては知らない人はいないというぐらい有名になりました。
それまでのギターの概念を覆す独創的なギターを生み出し、業界に衝撃をもたらしたブランドです。
その秘密は意外なところにあります。

「Ovation」 は、1966年にアメリカのハートフォードという街に、何とヘリコプターのメーカー「カーマン・コーポレーション」の子会社として誕生しました。
このヘリコプターの会社「カーマン・コーポレーション」の社長、「チャールズ・カーマン氏」は有名なギタープレイヤーでもあり、航空機の技術をギターに
活かすという大胆な発想を思いつきました。

チャールズ・カーマン氏は学生時代からギターの腕前は素晴らしいものだったそうですが、ミュージシャンとしてプロになるより、
音楽は楽しんでやりたいと思い、大学を卒業するとユナイテッド・エアクラフト社に就職し、数年後には航空機のパーツメーカーとして独立しました。
1960年代には航空宇宙技術部門にまで拡大していました。

チャールズ・カーマン氏は、ヘリコプターの羽根に使っている「グラファイト」をギターに使ってみたらどうだろう?と思い、
カーマン・コーポレーションの航空宇宙技術のスタッフを投入してギターの開発にあたり、数種類のプロトタイプの製作後、
オリジナル・スタイルのオベーションを完成させました。

1967年に第一号機アコースティックギターの「バラディーア」を発表。2年後の69年にはエレアコを発表しました。

この全く新しいタイプのギターは当初はミュージシャンにもなかなか受け入れられませんでしたが、
1970年代には保守的なミュージシャンの間にも浸透していきました。


「Ovation」 の特徴

オベーションのエレアコは「ラウンドバック構造」と言って、ギターのバックに「リラコード」という特殊な樹脂加工のグラスファイバーを
球状に丸く加工した形が特徴的です。球状に丸くしたことで、音の振動が集中するようになっています。
また、「カーマンバー」と呼ばれるトラスロッドはネックヒール部まで深く入っており、ネックの強度が高いのも特徴です。
ピックアップはブリッジのサドルの下に埋め込んである「ピエゾPU」です。
「ピエゾPU」は弦の振動と同時にギターのトップの振動を拾います。

                 後ろ姿


「Ovation」 の種類

オベーションのギターにはいくつかの種類に分かれています。

Adamas
最も高級なモデルは「Adamas」というモデルで、ヘッドには彫刻が施してあり、「Ovation」ではなく、「Adamas」と書いてあります。
「Adamas」は1975年にデビューし、ギターのトップにカーボンファイバーで樺材を挟み込んだ「ファイブロニック・サウンドボード」を
初めて使用されました。
サウンドホールも普通のアコースティックギターのような真ん中に丸い穴が開いているものではなく、
小さな穴をいくつも開けた「Epaulet」と呼ばれる独特なスタイルを持っています。
プロミュージシャンもよく使っていますので、オベーションと言えばこのスタイルを思い浮かべる方も多いと思います。
やっぱりかっこいいですよね。残念ながら今ではレギュラーで生産されなくなってしまいました。

               

                   
Adamas

Legend
ヘッドにちゃんと「Ovation」と書いてあるスタンダードモデルでは、「Legend」というモデルがあります。
「レジェンド」のトップ材は木で出来ていて、「アダマス」のようなカーボンではありません。
サウンドホールも真ん中に大きな穴の開いた「Rosette」というスタイルです。
トップ材の材質や、インレイなど装飾のデザインなどでランク付けされ、値段も違います。
高級なものから、「Custom Legend」、「Legennd」、「Balladeer Special」と3段階あります。

               

                 
Legend 1119

Elite
また、更にスタンダードモデルとして、「Elite」があります。
「エリート」は「アダマス」と見た目が同じような感じで、サウンドホールがいっぱい開いています。
ただし、トップ材はカーボン製ではなく、木で出来ています。
「エリート」も「レジェンド」と同じくランク付けされており、高級なものから「Custom Elite」、「Elite」、「Elite Special」と3段階です。

               

                                     
Elite 1868

Collectors Siries
また「オベーション」には「コレクターズ・シリーズ」という1982年から毎年、限定モデルが登場しています。
何と言っても限定生産で数が限られていますので、毎年集めておられるファンもおられるのではないでしょうか。
年によって「エリート系」のものや「レジェンド系」のものなど、色々なモデルが登場します。

               

            
1994 コレクターズ・シリーズ
               (1994年限定生産)

Signature Model
「オベーション」にも特定のアーティストのために作られた「シグネーチャーモデル」があります。
一番最初にデビューしたのは「グレン・キャンベル・モデル」。
また、「アル・ディミオラ・モデル」、「メリッサ・エサーリッジ・モデル」、「尾崎 豊 モデル」、「CHAR モデル」などがあります。
白黒模様のオベーションをマイケル・シェンカーが持っているのを見たことがありますが、あれは出てないのかな・・・。

               

           
1627 Glen Campbell Artist

Solid Model
オベーションらしくないモデルですが、ソリッドギターもあります。
1971年と72年にそれぞれ「ブレッドウェイナー」、「ディーコン」という変テコなソリッドギターがデビューしています。
その後、「ヴァイパー」、「プリーチャー」が登場。「マグナム」というベースも登場しました。

               

                    
Viper

他にも30周年などの「アニバーサリー・モデル」(限定生産)や、ダブルネックギター、エレアコベース、マンドリン、ウクレレなど
幅広い種類のモデルが存在しています。
「オベーション」には、アメリカで作られているものの他に、韓国で生産されている「Celebrity」と、
日本の全音が生産している「Applause」があります。いわゆる廉価版ですね。
ルックスは本家「オベーション」と一緒です。

確かにオベーションのギターは他のエレアコには出ない美しい鳴りを持っています。
多くのプロミュージシャンが愛用していることからも評価の高いギターであることがよく分かりますね。



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