ギター用語 マメ知識   別にどうでもいい話だが、知っていると みんなに自慢できる マメ知識





Vol.19
   70年代のギブソンってややこしい !?


ライトニンにはギブソンやフェンダーUSAのギターもたくさんやって来ます。
オールドギターが入荷した際にまずチェックするのは、ギターとしての機能的な部分で、
ネックやフレット、ナットやブリッジなど、直接弦の振動の影響を受ける部分。
また、電気系統や外観の状態もチェックします。

それと同時に、オールドギターは新品の状態と比較することは難しい上に、意味がありません
ので何年製のもので、その年式にして今どういう状態であるかを見極めます。

ところが、ギブソンやフェンダーUSAの場合、年式を確定するには国産オールドギター以上に
難解なことがよくあります。

前オーナーさまは 「このES175は1964年製です。」 とおっしゃっておられたが、
どこから見ても70年代やなぁ・・・。なんてこともよくあります。
確かにシリアルナンバーから調べてみると64年・・・?

う〜ん・・・。やっぱりアメリカ人はいいかげんなのか!
パートの黒人のオバちゃんがもう夕方だし、早く帰りたいなぁ。買い物もして帰らないと。
なんて考えながらシリアルを打っていたらまちがって打ってしまった!
工場の主任に 「すいません。これ間違えて打っちゃんたんですけど・・・。」
主任は 「もういいよ!別に誰もこんなのは後でチェックもしないからさ・・・。
それより今日は週末だぜ。一杯やりに行くから、早くかたずけちまえよ!」
それから30数年後。とあるジャパニーズ京都の中古屋の店主が 「ん・・・ !?」
なんて勝手な憶測をしてしまいます。

そんな状況はともかく、ギブソンもフェンダーUSAにしても、シリアルナンバーだけで年式を
判断するのは具合が悪い場合は多々あります。
確かにシリアルナンバーは重要な手掛かりのひとつではありますが、シリアルナンバーの表を
見ても、複数年にまたがっていたりしますので、そこから先は全体のスペックを注意深く見て
判断するしかありません。

特にギブソンの場合、1969年ぐらいまではシリアルナンバーも比較的細かく区分されています
ので、まだ分かりやすいですが、それ以降のものはずいぶんと大ざっぱになっています。
下の1970年〜75年のギブソンのシリアルナンバーを見て下さい。
エレキもアコギもフルアコもソリッドも共通です。

 【ギブソン 1970年〜75年のシリアルナンバー】

   6桁+A・・・・・1970年
   000000番台・・・・・1973年
   100000番台・・・・・1970年〜75年
   200000番台・・・・・1973年〜75年
   300000番台・・・・・1974年〜75年
   400000番台・・・・・1974年〜75年
   500000番台・・・・・1974年〜75年
   600000番台・・・・・1970年〜72年 / 74年〜75年
   700000番台・・・・・1970年〜72年
   800000番台・・・・・1973年〜75年
   900000番台・・・・・1970年〜72年
   A+6桁・・・・・1973年〜75年
   B+6桁・・・・・1974年〜75年
   C+6桁・・・・・1974年〜75年
   D+6桁・・・・・1974年〜75年
   E+6桁・・・・・1974年〜75年
   D+6桁・・・・・1974年〜75年

これではほとんどが60年代のものと重複してしまいます。
60年代のものだと早とちりしてしまうのも無理はないでしょう。

例えば  030115 とナンバーの書いたES335があるとします。
上の表では73年ということになりますが、それ以前の67年にも000000番台が存在します。
73年製の335と、67年製の335では中古市場で出回っている値段はおそろしく変わります。

そこで今回は70年代以降のギブソンについて年式の判別法のお話です。


ネックをよく見てみよう


 ■シリアルナンバー

  何と言ってもシリアルナンバーは重要な手掛かりです。まずはこれで大体の見当をつけましょう。
  シリアルナンバーはヘッドの裏に刻印がしてあります。
  見にくい場合もありますが、光に透かして見たりしてメモ紙に控えてみましょう。
  下の中のどれに当てはまるか見てみましょう。
  
 【ギブソン 1970年〜75年のシリアルナンバー】

   6桁+A・・・・・1970年
   000000番台・・・・・1973年
   100000番台・・・・・1970年〜75年
   200000番台・・・・・1973年〜75年
   300000番台・・・・・1974年〜75年
   400000番台・・・・・1974年〜75年
   500000番台・・・・・1974年〜75年
   600000番台・・・・・1970年〜72年 / 74年〜75年
   700000番台・・・・・1970年〜72年
   800000番台・・・・・1973年〜75年
   900000番台・・・・・1970年〜72年
   A+6桁・・・・・1973年〜75年
   B+6桁・・・・・1974年〜75年
   C+6桁・・・・・1974年〜75年
   D+6桁・・・・・1974年〜75年
   E+6桁・・・・・1974年〜75年
   D+6桁・・・・・1974年〜75年

 【ギブソン 1975年〜77年のシリアルナンバー】

  シリアルナンバーが刻印ではなく、デカール(シール)で貼ってある場合は、75年77年です。
  このデカールのナンバーの見方はこうです。通常の6桁の前に2桁の数字があります。
  99 ******=75年 / 00 ******=76年 / 06 ******=77年
  
 【ギブソン 1977年〜のシリアルナンバー】  

  77年以降のシリアルナンバーは8桁です。
  8桁のシリアルの見方はこうです。

  
YDDDYPPP  
  1桁目のYと5桁目のYで年式を見ます。
  DDDはその年の何日目かです。001なら1月1日。365なら12月31日です。
  PPPはどこの工場で作られたかです。
  001〜499はカラマズー工場。501〜999は75年から操業されたナッシュビル工場。
  それぞれの工場での何本目かを表しています。
  例えばPPPが674だったら、ナッシュビル工場でその日の74本目ということです。
  (84年にはカラマズー工場は閉鎖になりました。89年にはモンタナ工場がスタート。)
  モンタナ工場の場合はPPPが001〜299。ナッシュビル工場は301〜999に変わりました。
             

シリアルナンバーで大体の見当がついたら、ここから下をチェックして裏付けを取ってみます。


 ■ボリュート

  まず、ネック裏側のヘッドの付け根部分を見てみましょう。
  そこにコブ状の膨らみがついているのは69年後半〜82年頃までです。
  これは「ボリュート」と呼ばれるもので、ネックの補強のためについています。
  このボリュートがあれば、70年代の可能性が高いです。
  (リイシューモデル、一部のモデルは別です。)



 
■MADE IN USAの刻印

  次にシリアルナンバーが打ってあるヘッドの裏を見てみましょう。
  6桁のナンバーが打ってある下に MADE IN USA と刻印があれば、70年初め以降のものです。
  もし無くても「じゃあ、60年代なんだな・・・。」と早とちりしてはいけません。
  パートのオバちゃんが打ち忘れたのかもしれません・・・。
  (リイシューモデル、一部のモデルは別です。)


 
■ネック本体

  ネック自体を裏からよく見てみましょう。
  ネック本体は一部のモデルを除き、69年前半からマホガニー材の3ピースネックになります。
  ネック自体が1本の木材ではなく、3つの材に分かれていれば70年代の可能性が高いです。
  ボディのカラーはチェリーなのにネックの裏は真っ茶色の木の色をしています。

  74年後期からは同じ3ピースネックですが、メイプル材に変わります。
  この場合はボディのカラーに合わせてネックも塗装してあります。

  ただし、SGスタンダードなどはマホガニー材のままです。
  また、高級フルアコモデルのL-5や、L-6Sなど70年代以降に登場したモデルは74年以前からメイプル材です。
  リイシュー・モデルはほとんどがマホガニー材で作られています。

  82年頃にマホガニー材の3ピースが再登場。83年頃にもマホガニー材の1ピースが再生産されていますので注意です。


アッセンブリ(電気系統)も調べてみよう

 
■ピックアップ

  ハムバッカー・ピックアップの場合、ピックアップが取り付けられているエスカッションの4角のネジを外すと、
  エスカッションごと外すことができます。裏を見てみるとパテントナンバーが書いてあります。
  このパテントナンバーが書いてあるピックアップを「ナンバードPAF」と呼びます。
  
  60年代中期以降のものは小さな黒いシールが貼ってあり、シールに「PATENT NO.2,737,842」と書いてあります。
  しかし、74年中期以降は同じナンバードPAFでも「PAT.NO.2,737,842」とシールではなく、
  直接大きな字で刻印されているものに変わります。
  
  78年頃からのハムバッカーには裏に 「JAN 16 1979」 といったふうにピックアップ自体の製造年月日が記されています。
  また、ピックアップ・キャビティや、コントロール・キャビティなどにも年月日が記されていることもありますので、チェックです。

  外観ではカバーがついているので分かりませんが、カバーを取り外すと69年頃以降のものは、
  それまでのボビン上部にスクエア・ウィンドウと呼ばれる小さな四角い穴があったタイプのものから、
  ボビン上部に「T」状の形の「Tボビン・ハムバッカー」に変わっています。
  ピックアップのカバーは無理に外すと変形したり、ピックアップ自体を壊してしまう恐れがありますので、
  あまり開けたりしない方が良いでしょう。


 
■ポット

  ボリュームのポットからも年式を見る手掛かりがあります。
  ポットにはそのポットが作られた年式を示すポット・デイトが書いてあります。
  USAポットの場合、7桁の数字が書いてあります。
  もし、1377422 と書いてあれば、見方はこうなります。
  最初の137はポットのブランドであるCTS社製を意味しています。
  次の74が年式の74年です。
  最後の22はその年の22週目に作られたことを意味します。
  
  通常、ギターメーカーは必要な分だけその都度ポットメーカーに発注しますので、
  ポットの年式を調べるのも大きな手掛かりです。

  しかし、335などのモデルには、ポットにはホコリなどが入るのを防止するために、大きなカバーがしてあるものもあります。
  このカバーもしっかりと溶接がしてありますので、無理に開けるのは危険ですので、Fホールから覗いてみて
  大きなポットが見えたら、そっとしておきましょう。


ここまで調べると、かなりの部分で実体が分かってきます。
これでも分からない場合は、もっと細かい部分を見ないといけませんが、そこからはもうプロの領域になります。
すべて100%正解とは言い切れませんが、ここまでのチェックでおおまかには分かります。
しかし、ポットのナンバーにしても、ポット工場で帰るまぎわのパートのオバちゃんがしたのかもしれませんからね・・・。




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